すいせいの専門性

NHKが発達障害を1年間特集―発達障害の相談現場からよくあるご相談をご紹介

NHKが発達障害を1年間に渡って特集

発達障害が広く正確に知られていくきっかけに

5月21日にNHKスペシャルで放送された「発達障害 ~解明される未知の世界~」が非常に大きな反響となっています。
当事者を交えた生放送、見え方・感じ方の再現や当事者の意見を取り入れたスタジオのセットなど、これまでにない取り組み方だと感じました。
ツイッターを初めネット上でも大きな反響があり、様々な意見が寄せられているようです。
NHKが2017年5月からスタートした1年間に渡る「発達障害プロジェクト」の第一弾とのことで、見えにくい障害である発達障害が、広く正確に知られていくきっかけとなるよう、期待しています。

NHK発達障害プロジェクト

発達障害者相談窓口でよくあるご相談をご紹介

平成21年から発達障害のご相談に対応

社会福祉法人すいせいは平成21年から神戸市より委託を受け、神戸市発達障害者西部相談窓口を開設し、大人の発達障害についてご相談をお受けしています。(平成29年4月から15歳以上の方へ対象を拡大)
発達障害がクローズアップされている今、日々の相談の中から幾つか大人の発達障害でよくあるご相談にお答えしてみようと思います。

どこに相談したらいいか分からない

障害のある方を支援する、あるいは関係する法律はたくさんあります。発達障害に関してはどうでしょうか?最も関係の深い法律が、2005年に施行された「発達障害者支援法」という法律です。

この法律に基づいて、発達障害者支援センターという支援機関が設立されています。発達障害者支援センターは、発達障害児・発達障害者への支援を総合的に行うことを目的とした専門機関です。
各都道府県・指定都市に設置されていますが、各センターの事業の内容は地域によって、違いがあります。まずはお住いの地域の支援センターに電話等で問い合わせてみられてはいかがでしょうか。

発達障害情報・支援センター 相談窓口の情報 発達障害者支援センター一覧

病院では何を相談したらよいか分からない

病院を受診したものの、「何を伝えたらよいか分からない」という困りごとはよくあるご意見です。初診の際には、問診票を記入することが多いですから、問診票を通じて伝えるのも方法の一つです。その後、続けて受診する中で、主治医に何を伝えるか、前もって、下記のような「自己質問シート」に答えてみて、まとめた内容を相談してみるのも良いのではないでしょうか。
「自己質問シート」とはこのような質問内容です。


【自分への質問リスト(継続受診時用)】

1)先週1週間の間、イライラ、不安の強さの度合いを10段階(まったくなかった~耐えられないほどひどかった)で表すとどのくらいですか。
また、そう感じる理由で思い当たることはありますか。

2)先週1週間の間、気分の落ち込みの度合いを10段階(まったくなかった~耐えられないほどひどかった)で表すとどのくらいですか。
また、そう感じる理由で思い当たることはありますか。

3)先週1週間の間、睡眠の問題(たとえば、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目覚める、寝過ぎてしまうなど)はありましたか。
あった場合、どんなふうに睡眠に問題がありましたか。

4)なにかをしなければ気が済まなかったり、なにかをすることにいつも以上に時間がかかってしまうときもあると思います。
例えば、身じたくにかかる時間です。ですがそういったことは、いろいろな影響で状況が変化します。
気になっていたことがあまり気にならなくなったり、気になることの対象が変わったりといった変化はありましたか。ある場合はどんな変化ですか。

5)先週1週間から今までで、体の痛み、心配なことなど、気になっていることはありますか。

6)先週1週間の間、なにか変わったことはありましたか。どんなことですか。


上記の質問を自分にしてみて、そのときの受診で話したほうが良さそうなもの(1~2個が時間的にいいのではないでしょうか)を選びます。そして、自分で自分の質問に答える形で話しをします。例えば、こんな感じです。

1)「先週1週間はイライラが強かったです。イライラの強さを10段階で表すと7くらいです」「イライラの理由は○○かもしれません(これは思いつかなければ言わなくてもよいです)」
3)「先週1週間はうまく眠れませんでした。夜中に何度も目が覚めてしまいました」
4)「先週1週間はいつもより、お化粧にかかる時間が減ったように思います。」

また、一度の受診で全ての問題を解決してしまおうという考え方はうまくいかないことが多いように思います。じっくりと一つずつ困りごとを解決していく心づもりで、受診してみられてはいかがでしょうか。

「発達障害者手帳」って無いのですか?手帳を持ちたくても持てない場合は

「発達障害者手帳」ってあるのでしょうか?というご質問がときどきあります。
発達障害者手帳というものはありませんが、利用できることがある制度として、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(地域によっては「愛の手帳」「みどりの手帳」と様々な呼び方で呼ばれています)という制度があります。

手帳を持っていることで、どのような支援を受けることができるのでしょうか。
自治体によって、利用できる制度は様々ですので、詳しくはお住いの自治体の窓口でお尋ねいただくのがよいでしょうが、全国的に利用できるものの一つに、障害者枠での就労があります。
どのような求人があるのかについては、ハローワークのWEBサイトで確認することができますので、一度確認してみられてはいかがでしょうか。

ハローワークインターネットサービス 障害者求人情報簡易検索

また、手帳を持つことができないので、どうすればよいだろうかというご相談もしばしばあるものの一つです。手帳を持つことができないというものも、ご家族が反対する、どういう手続きをしたらよいか分からない、など理由は様々だと思います。

一例として、『医療機関で取得できないと言われた』というものがあります。
医療機関で取得の相談をするとなると、「精神障害者保健福祉手帳」が対象となりますが、精神障害者保健福祉手帳は病名がはっきりしていないと取得することができません。また、申請にあたっては医療機関の初診から6ヶ月が経過していることが条件になります。
ですので、医療機関で取得できないと言われた、という場合であっても、

・(初診日から6ヶ月経過していないから)申請できない
・(まだ受診回数が少ないため、病名がはっきりしないので)診断書を書くことができない。

というケースもあります。
障害者手帳がなぜ必要かということをご自身の中で整理した上で、あらためて、主治医に相談なさってみてはいかがでしょうか。

お気軽にご相談ください

いかがでしたでしょうか。少しでも参考になれば幸いです。
NHKの特集をきっかけに、「もしかすると私も…」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
神戸市発達障害者西部相談窓口では、発達障害の診断を受けていない方のご相談もお受けしています。(垂水区・西区・北須磨にお住まいの15歳以上の方)
なかなか理解してもらいにくい障害のため、周囲に打ち明けられずつらい思いをされている方が多いというのが窓口で相談を担当していての実感です。お一人で悩まず一度お気軽にご連絡ください。

神戸市発達障害者西部相談窓口

※神戸市委託事業のため、役所と同じく無料です。

思春期以降の発達障害に関するご相談

神戸市発達障害者西部相談窓口

発達障害(思春期以降)による生きづらさがある
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